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ダウン症の原因
2012.4.13:減数分裂のところに補足を書きました。
2012.3.30:大学辞めました。
2012.02.09:減数分裂の説明を追加しました。
序文
まず、申し上げたいのは、「私が何か悪いことをしたからダウン症になったんだ」などと考えるのはやめたほうが良いということです。特に、合併症の手術の最中などはそのように悲観的になってしまうこともあります。
やめろと言われても・・・。そうです、やめられませんよね。
私は、姪がダウン症なので、一歩ひいた目線でダウン症というものに対峙しています。それゆえ、ご両親の気持ちは正直分かりません。でも、皆さんのブログを読んだり交流サイトで知識を得たりしてお役に立てることはないか、そう思って今までこのサイト作りをしてきました。でもまだまだ満足できません。
そこで、思いついたのが、徹底的にダウン症のことを調べて、そのメカニズムを解明し、「親御さんのせいではないんだ!」ということを立証しようということです。科学的に解明されれば、少しは気が晴れるのではないかと思ったのです。
それがこのページの趣旨です。そして、私が37にもなって大学の研究生として遺伝学を学び始めたきっかけでもあります(2011.10.1より別の大学院大学の博士課程で勉強し、2012.3.30に辞めました)。
以下、研究成果です。
その前にひとつ申し上げたいのは、遺伝子の変異は誰にでも起こることです。ダウン症のお子さんを生んだお母様は、劣っていたのではなくダウン症児をも生むことができる強靭な胎盤をお持ちの方なんです。ただそれだけを伝えたくて。
★まず、ダウン症には、3種類あることを申し上げます。
lithum elemtは何ですか
1. トリソミー21(92%)
2. 転座型(5%)
3. モザイク型(3%)
トリソミー21は、以下のように21番目の染色体が三本になってしまっている状態です。染色体は、父親と母親から一本ずつもらいます。21番染色体の三本目は、父親か母親のどちらから二本もらってしまった結果です
転座型は、21番染色体が、他の染色体にくっついてしまう症状です。
モザイク型は、正常な細胞とトリソミーの細胞が混在している状態です。
★染色体不分離について
染色体不分離がダウン症の主原因であるようです。染色体不分離とは、減数分裂(染色体が一旦4本になり、その後1本ずつに分離される)の時にうまく一本ずつにならないで、2本になってしまうのです。
★減数分裂
(THE CELLより)
減数分裂は、受精に先立ち、二倍体(染色体が2対ずつある状態)の細胞から一倍体(染色体が1対の状態、図の一番下)の細胞を作り出します。減数分裂では、二倍体の細胞がDNAを倍加(4本になる)させた後、2回の連続的な分裂を経て一倍体の細胞を4個作ります。減数分裂では、第一回目の細胞分裂の後で続けて複製なしにDNAの分配が起こります。
ゴルジ体は何をしない
二倍体の細胞では、染色体ごとに父親由来のものと母親由来のものが1対あり、相同染色体と呼ばれています。23本の染色体があるので、223の組み合わせがあります。減数分裂過程では、相同染色体はペアを作ります(対合)。そして、父親と母親由来の相同染色体間で交叉(crossing-over)が起こります。この交叉のところで染色体の乗換え(部分的に入れ替わる)が起き、遺伝子の組み合わせが変わります。これを組換え(recombination)と呼びます。父親由来の染色体と母親由来の染色体が交叉し付着した部分はキアズマと呼ばれます。交叉と組換えにより、配偶子は多種多様なものになります。精液中に精子が大量にあっても遺伝的に全く同じものは実質ないと言われています。
★染色体不分離が起きると…
(「生物学 上」 より引用)
上図では、「性染色体」について説明していますが、「X」「Y」というのが21番染色体だと思ってください。四角で囲った左上と左下のがトリソミーです。この場合には、母親の側で染色体不分離が起きてトリソミーになる例が示されています。男性側でも不分離は起き、同じように「XX」というように精子が21番染色体を2本持っている場合があります。不分離は、母親で主になりやすいという傾向があります。
より詳しく「不分離」を説明しますと、以下の図のようになります。減数分裂は、2つの工程からなります。「Meiosis I」と「Meiosis II」です。4つのケースがあります。上から三番目のが、正常な減数分裂です。一番上のは、「Meiosis I」でエラーが起きて、染色体が二本になる例です。二番目は染色体の無いケースで、ターナー症候群などになる可能性があります。四番目は、「Meiosis I」と「Meiosis II」でエラーが起きて、二本の染色体を持つ卵や精子ができてしまいます。
ユーグレナは何に使用されるのですか?
(Terry Hassold1 & Patricia Hunt, 2001. To err (meiotically) is human: the genesis of human aneuploidy. Nature Reviews Genetics 2, 280-291.より)
また、様々なトリソミーの表もあります。
(Terry Hassold1 & Patricia Hunt, 2001. To err (meiotically) is human: the genesis of human aneuploidy. Nature Reviews Genetics 2, 280-291.より)
21番染色体のトリソミーは、642ケースあり、父親の「Meiosis I」で3%、「Meiosis II」で5%、母親の「Meiosis I」で65%、「Meiosis II」で23%、残りは減数分裂後のエラーです。
★高齢出産
ダウン症は、特に母親の高齢出産での発症率が高いというデータもあります。以下の図のようになっております。アメリカにおける統計では、20 - 24歳の母親による出産ではおよそ1/1562なのに対し、35 - 39歳でおよそ1/214、45歳以上の場合はおよそ1/19と高率となっているそうです。
★三倍体
ここで、ダウン症を含めた色んな症状の内、三倍体の原因について考察します。
1. 母親の卵子が、異常な数の染色体を持つ「異数体(aneuploid)」である可能性。
2. 父親の精子が、異数体である可能性。
3. 1つの卵子に複数の精子が受精してしまう可能性。
この中で一番多いのが、実は3番目の「1つの卵子に複数の精子が受精してしまう」(66%)で、次いで「父親の精子が異数体」(24%)、「母親の卵子が異数体」(10%)なんです。
イメージ図(THE SELLより)
さらに、データを挙げますと、受精後の細胞分裂での異常というのもかなりの率であります。また、卵の約20%、精子の3〜4%そして胎児の25%が異数体というデータもあります。そして、妊娠第1三半期に比較的起こりやすい自然流産の約半分が減数分裂期(卵子や精子が形成される時期)における染色体分配(染色体を2つに分ける)異常に起因すると考えられているようです。
そして、人には、異数体が発生したときにそれをチェックして細胞を殺す機能が備わっているんですが、卵の場合は、精子の場合に比べてそれがゆるく設定されているようで、卵の異数体が増える原因にもなっています。
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