2012年4月1日日曜日

システム脳科学分野 : 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 博士後期課程 感性認知脳科学専攻


分野紹介(久野グループ)

久野研究グループでは、ラットやマウス脳のほぼ全域を対象に免疫組織化学とin situ ハイブリダイゼーション法による形態学的方法を基盤として胎仔や新生仔の脳と正常に、あるいは異常に発生した脳の機能を「グルタミン酸・ペプチド・輸送体・遺伝子・ニューロン」などをキーワードとして「生命のかたち」から追いかけています。さらに、研究の進展に応じて、RT-PCR, RNase protection assay, Real-time PCRなどの分子生物学的手法、各種ブロッティングアッセイ、高速液体クロマトグラフィーを使った生理活性物質の定量、薬物刺激や電気刺激による生理反応解析を通して、脳・神経システムの構造がもつ生物学的意義に迫ります。
当研究室での大学院教育では、脳の切片作成→遺伝子・タンパク質の検出技法→顕微鏡観察における目の着けどころの習得→国内および国際学会での発表の仕方→英文学術論文の作成法を順次習得させ、必要な専門知識と正確な技術に裏付けられた観察する確かな目をもつ研究者、あるいは高度専門技術者の育成を目指しています。


プールのpHを調整する方法

1.小胞性グルタミン酸トランスポーター(VGLUT)に関する形態学的並びに発生学的研究
我々の研究グループでは、脳の情報伝達において主要な神経伝達物質として知られる興奮性アミノ酸のグルタミン酸に関連した研究を進めています。興奮性神経伝達は脳内の様々な脳活動と密接に関わっています。特に、この伝達機構に必須の物質である小胞性グルタミン酸トランスポーター(VGLUT)が脳機能で果たす役割について形態学的手法を中心に多角的に解析しています。グルタミン酸が胎生期や発達段階の脳での神経システム形成に深く関わることが分かっており、マウスやラットの胎仔や新生仔における生後発達段階を対象として大脳皮質や嗅球、松果体などの神経システム構築におけるVGLUTの役割について研究を進めています。研究の具体例として、シナプスが形成される以前の発生の早期に既に脳細胞がこの輸送体遺伝子� ��発現することを明らかにし、脳形成期のニューロンの分化や移動に関連したグルタミン酸の機能について報告しました。また、成熟動物を使った研究では、VGLUTの生理機能との関わりや実験的な環境変化に対する適応反応としてのVGLUT遺伝子の発現調節について研究を進めているほか、セロトニン作動性神経やドーパミン作動性神経などモノアミン作動性神経でのVGLUT発現を形態学的に調べています。特に、セロトニン作動性神経では脳内の領域によってVGLUTの発現が著しく異なることを見出し、セロトニン神経によるグルタミン酸放出が果たす役割について研究を進めています。

2.成長ホルモン(GH)とプロラクチン(PRL)に関する形態学的、分子生物学的研究
GHとPRLは共通の祖先分子を持つ近縁のホルモンであり、ともに下垂体特異的転写因子であるpit-1により遺伝子発現が調節されています。現在GH細胞やPRL細胞の分化メカニズムについては、GH細胞が先に分化し、後にその一部がPRL細胞に分化転換するというモデルが広く信じられています。しかし、我々は胎生期のマウス下垂体の器官培養実験から、胎生15日の下垂体にはGH細胞とPRL細胞のどちらにでも分化可能な共通前駆細胞が存在することを示唆するデータを得ており、GH及びPRL細胞の分化・発達に関する新たなモデルの提唱とその証明に向けて研究を進めています。また、 GHやPRL、およびその受容体の遺伝子発現調節の研究を通して、正常な脳機能の維持・発達、特に感性に関わる脳機能の発達に対するこれらホルモンの役割の解明を目指しています。


"人生の意味は何ですか"

3.「快い」感覚刺激がもたらす生理的効果についての分野横断的研究
 これまでに芸術作品の鑑賞行動など感性に関わる脳機能を解明する学際的研究に取り組んできました。現在はこのほかに、嗅覚と聴覚を対象に「快い」感覚刺激がもたらす脳機能に対する効果に研究対象を広げ、「高次脳機能」について、ヒトを対象とした光トポグラフィーによる前頭葉血流計測と「本能」についての実験動物を対象とした生化学的、形態学的解析を組み合わせた研究を進めています。

研究題目(久野グループ)

●VGLUT 発現からみた脳の構造と機能形成へのグルタミン酸の働き
●脳内成長ホルモンおよびプロラクチンの発現調節機構
●快い感覚刺激が本能に与える影響とそのメカニズムの解明

教員(久野グループ)

(写真左より)
●久野節二(教授)研究指導担当 ウェブサイト
Eメール: shisanbr />●野上晴雄(准教授)授業担当 ウェブサイト
Eメール: hnogambr />●首藤文洋(講師)授業担当 ウェブサイト
Eメール: fshuto/p>

(注意事項) メールアドレスは,各アドレスの最後の部分,(tsukuba.ac.jp)を,tsukuba.ac.jpとして下さい。

分野紹介(吉田グループ)

 神経生理学研究室(吉田研究グループ)では、眼球運動をモデルとして、運動制御と運動学習の神経機構を研究しています。眼は高度に発達した感覚器であると同時に,精密な運動機能を備えた器官でもあります。「ものを見る」機能は,眼が動くことによりはじめて発揮されます。


毎日飛ぶ人の推定数

1. 眼球運動の学習メカニズム
 学習機能は最も本質的な脳機能の一つです。われわれが日常行う運動の正確さ・円滑さは、運動のエラーに基づいて次の運動を修正して行く仕組み(運動学習)によって支えられています。新しい目標への視線のすばやい動き(サッケード眼球運動)は最も正確さを要求される運動の一つです。サッケード運動学習は、随意運動学習の仕組みを調べる上で様々な利点を有しています。私たちは、訓練したサルを用い、種々の学習誘発課題、ニューロン活動の解析、脳局所の可逆的不活性化、微小電流刺激などの手法を組み合わせて、サッケード運動学習の脳内メカニズムを調べています。
 これまでに、小脳核の不活性化によって生ずるサッケード異常の本態、サッケード運動学習中に小脳ニューロン活動が示す変化、サッケード学習に関わる小脳信号を運動ニューロンに伝達する細胞の特定、過去の学習経験が新しい学習に及ぼす効果などを明らかにしてきました。現在、随意運動学習をガイドする教師信号(学習信号)の解明に力を入れて取り組んでいます。脳内電気刺激によって運動学習を誘発する手法を用いた実験を行い、従来まったく不明であった教師信号の脳内起源やその伝達経路が徐々に明らかになりつつあります。

2. 眼球運動の制御機構
 速く巧みな運動は、サッケードに関連した活動を示す様々な種類のニューロンによって実現されています。これらのニューロンから成る神経回路の仕組みを、動物モデルで電気生理学的手法、薬理学的手法を組み合わせて調べています。これまで、サッケードや眼振急速相の運動指令を生成する回路、速度指令を位置指令に変換する神経積分回路の実体を明らかにしました。現在、単一ニューロンレベルで神経伝達を阻害する方法を用いて興奮性入力と抑制性入力を分離し、サッケードと注視を切り替えるメカニズムの解析を進めています。

研究題目(吉田グループ)

●随意運動学習の脳内メカニズム
●サッケード眼球運動制御の神経メカニズム

教員(吉田グループ)


(写真左より)
●吉田薫(教授)研究指導担当 ウェブサイト
Eメール: kyoshidbr />●岩本義輝(准教授)研究指導担当 ウェブサイト
Eメール: iwamot/p>

(注意事項) メールアドレスは,各アドレスの最後の部分,(tsukuba.ac.jp)を,tsukuba.ac.jpとして下さい。

分野紹介(設楽グループ)

 設楽研究グループでは、人の行動、認知、そして、こころのはたらきまで理解することをめざし、 これらを生み出す脳の情報処理の仕組みを理解しようとしています。そのために重要であると考 えられる、モチベーションや報酬期待、そして行動や計画の脳内メカニズム、学習や認知の脳内 メカニズムについて、電気生理学的手法などを用い、次のような研究を行なっています。

1. 行動のゴールである報酬を獲得しようという「動機:モチベーション」に基づいて計画をたてて、 学習によってより効率的な行動をとるようになる時の脳内情報処理メカニズムを調べています。その ために、報酬の期待や予測、報酬の価値や確率、及び、行動決定に関わる脳の情報処理を中心に、霊 長類を用いた動物モデルによる生理学実験と数理モデル解析を融合した研究を進めています。

2. 動物は、喜・怒・恐・悲のような本能的な情動をもちます。人はさらに、複雑な対人・対社会関係 の中で、共感、思いやり、嫉妬といった社会的な情動を獲得してきました。これらの情動には様々な個 人差があります。最近、その要因として、生育環境のみならず、遺伝子の小さな違い(遺伝子多型)が 関係していることがわかってきました。そこで、このような情動の神経基盤と相手の意図や行為を推測 する脳内機構の解明を目指し、分子機構から行動までを繋げて理解するための動物モデルを開発してい ます。この動物モデルは、「将来の幸せか、目先の幸せか?」のような行動決定に関連する報酬系の神
経基盤の解明にも役立つと考えられます。

3. "脳の情報処理" の基盤となる神経回路が発生過程でどのように構築されるのかを調べています。 そのために、身体の感覚と運動の機能を支える脊髄の神経回路を実験モデルとし、遺伝子改変マウス等 を用いた形態学的、電気生理学的な解析を行なっています。


研究題目(設楽グループ)

●モチベーションと報酬期待の脳内情報処理メカニズムの研究
●学習と行動決定の脳内メカニズムの研究
●情動と社会的行動の脳内メカニズムの研究
●神経回路形成のメカニズムの研究

教員 (設楽グループ)

(写真左より)
●設楽宗孝(教授)研究指導担当 ウェブサイト
Eメール: mshidarbr />●山本三幸(准教授)研究指導担当 ウェブサイト
Eメール: yamamotbr />●尾崎繁(講師)授業担当 ウェブサイト
Eメール: ozakibr />●水挽貴至(助教)授業担当
Eメール: mizuhik/p>

(注意事項) メールアドレスは,各アドレスの最後の部分,(tsukuba.ac.jp)を,tsukuba.ac.jpとして下さい。



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